「希望格差のない社会へ」カナエールと子どもたちの7年間、そして、最後の開催と、これから。

希望格差のない社会へ。
カナエールが7年間、実現を目指して来た社会の姿、Visionです。

希望ってなんでしょう。
夢、将来、憧れ。。。

格差ってなんでしょう。
ハンディキャップ、軋轢、壁。。。

児童養護施設を退所する子どもたちは、18歳で施設を出て、親を頼らず自分1人で生活していかなくてはなりません。「自立」を余儀なくされます。18歳の子どもが、社会という大海に、ボートに乗って漕ぎ出す、そこには「希望」そして「不安」がありそうです。「学ぶこと」「働くこと」「暮らすこと」「遊ぶこと」「人と関わること」そこにはたくさんの希望がありそうです。しかし、現実には「仕事と勉強両立していけるだろうか」「食べていけるだろうか」「自分一人で生活できるだろうか」「新しい環境に馴染めるだろうか」、不安もつきまといます。

これは誰しにもある希望であり、不安ではないかと思います。しかし、親を頼れず、しばしば過去に辛い経験をした時期を持ち、貯蓄や保険を十分に持たず、家庭という社会との接点と距離を置かざるを得なかった子どもたちにとっては、18歳の希望と不安、少し厳しいものになっているのも事実です。

夢を持てない。
将来設計ができない。
憧れを抱けない。

そういう状況に親を頼れない子どもたちがある時に、社会として、社会人として、何かできることはないか。カナエールというプロジェクト、そしてそこに関わる人たち、というのは、少なからず、そういう使命感を携えて、子どもたちに関わっているのだろうと思います。

カナエールは児童養護施設から進学を目指す子どもを応援する奨学金支援プログラムです。奨学生は、3人の社会人ボランティアとチームを組んで、120日間かけて、スピーチコンテストに挑戦します。多くの来場者の応援を受け、自分の夢をスピーチすることが彼らの未来へのモチベーションになります。7年間、東京・横浜・福岡で開催されて来ましたが、今年がスピーチコンテストの最後の開催になります。この最後の開催を通じて、皆さんに子どもたちをめぐる状況を、可能な限り知っていただきたいと考えています。

 

子どもたちの現状

子どもたちの現状を見てみましょう。カナエールの運営母体、NPO法人ブリッジフォースマイルによる調査によると、子どもたちの進学率は全国平均に比べ、かなり低い数字になっていることがわかります。「進学を選ばず、就職をする子どもたちが大多数」という現状が見て取れると思います。

施設から進学を選ぶ子どもたちが少ない理由として、学業と生活を両立させながら、学費や生活費を稼いでいくことが簡単ではないこと、また周囲に進学を選ぶ前例が少ないため、最初から諦めてしまうこと、施設側も先立つものが少ない中で、進学に強く背中を押せないことなどがあげられます。

カナエールの月々の奨学金3万円は、アルバイト37.5時間分に相当します(時給800円の場合)。私たちはこれを、睡眠、勉強、友達との時間を削ってアルバイトに励む奨学生への「時間のプレゼント」と呼んでいます。“時間のゆとり”は“心のゆとり”として、卒業までの生活を意欲面でも支えます。

次に子どもたちの退所後の状況を、時系列で見てみます。就学率の減少傾向が顕著です。進学率と中退率。児童養護施設で生活した子どもたちの大学等の進学率は26.5%。また、進学できても学業とアルバイトの両立は厳しく、経済的理由等により中退してしまう割合も26.5%と、全国平均の3倍近くにもなります。
※NPO法人ブリッジフォースマイル2016年調べ

困っている人への支援、というのはしばしば「対処」になりがちです。ただ、「予防」の充実で、未然に防げることも多いはず。一昨年末、日本財団が「子どもの貧困の社会的損失推計」を発表して話題になりました。メディアでも「子どもの貧困」という言葉がクローズアップされることが増えました。子どもたちへの奨学金支援も行政、民間、双方で広がりを見せています。一方で、奨学金支援だけでは足らない部分もあります。カナエールは子どもたちへの「資金」と「意欲」の両面からの支援をこれまで掲げて来ましたが、現状維持ではなく、進学率が高まり、中退率が下がるためには、今後ますます「意欲の支援」が重要になってくると考えています(奨学金支援プログラム「カナエール」終了について | NPO法人ブリッジフォースマイル)。

 

子どもたちとそれを支える大人たちの挑戦

子どもたちには乗り越えなければならない壁が存在します。

1つは環境のこと。親を頼れず、施設で過ごし、貯金や保険など担保になるものが少ない中、社会に出ていかなければいけないこと。
もう1つは自分のこと。自分の能力を認められた経験が少なかったり、自信、自己肯定感、社会経験など足りなかったり、自立のための力になること。

120日間のスピーチコンテストに向けた挑戦は、子どもたちを励まし、勇気づけ、支えてくれる存在を感じ、彼ら彼女らの夢をはぐぐむ力を養います。時には、思い通りにいかないことや、感情が溢れ出してしまうことや、ボタンの掛け違えに気づくこともあるけれど、経験ある大人たちと一緒に取り組むことが未来への力になります。

 

最後の開催、夢スピーチコンテスト

ここまで皆さんに子どもたちのことを知ってもらうため、書いて来ました。では、視点を変えてみましょう。少し考えてみてください。社会は子どもたちからどう見えているのでしょうか。

正解はわからないと言えるでしょう。ただ、これまでなかなか社会から見えづらくなっていた子どもたちの姿と同じく、子どもたちからもなかなか社会が見えづらくなっている、ということがあるのではないでしょうか。「子どもたちの可能性」と「社会にある希望」。双方が双方に見えづらくなっていた。ここにあるのが希望格差です。その希望格差の解消のための奨学金支援は子どもたちへの挑戦する機会の提供ですが、一方で、子どもたちと多くの大人たちと同じ場所と時間を共有する機会の提供がスピーチコンテストです。子どもたちが、一番たくさんの大人たちと関わる機会です。

以前、カナエールに参加した奨学生のスピーチにこんな一節がありました。

「大人になるのを楽しみにしていてください」

カナエールは参加した奨学生が、社会に出て後に続く子どもたちのロールモデルになって欲しい、そう願って来ました。ロールモデルになる、というのは、スーパースターになる、ということではありません。進学し社会に出た奨学生が、後に続く子どもたちの希望になること、きっとそれがカナエールのゴールなんだろうと思います。進学をし、就職をしても、人生は長い。スピーチコンテストの開催は2017年度を以って終了しますが、この7年間で生まれた希望は、希望の連鎖となって次の世代に伝わり広まり続けていって欲しい、そう思います。


 

希望格差のない社会へ

お気づきの方も多いと思います。希望格差のない社会へ、まだまだ道半ばです。もしかしたら、カナエールの7年間は、まだほんの入り口だったのかも知れません。お金のことはもとより、時間もかかる、もっと多くの人に関わってもらわないといけないし、よくよく理解していただくための啓発啓蒙も必要でしょう、セーフティネットが足りないかも知れないし、子どもたち1人1人の頑張りも、もっともっと必要なのかも知れません。希望格差をジブンゴトとして捉え、手を差し伸べたり、寄り添ったり、応援を送ってくれる人が1人でも増えること。そういう人が1人増えることが、カナエールの1歩で、来場者、社会人ボランティア、スポンサー企業、寄附で支えてくれたサポーター、外部の著名人や有識者の方々、実行委員会、NPOスタッフ、そうやって少しずつ関わる1人が増えるごとに、1歩1歩、歩みを進めて来た、関わる人に大いに支えられた、とっても恵まれたプロジェクトです。

カナエールの最後の開催、是非、立ち会っていただきたいです。

子どもたちの夢の行く末がまだまだこれからなように、関わり支える社会もまだまだこれからです。奨学生が壇上でスピーチコンテストを終えることが、彼ら彼女らにとってのスタートラインであるように、来場される皆さんにも、新しいスタートを切ってもらえるんじゃないかと思います。

奨学生、カナエルンジャーのスピーチ、すごいです。

希望の舞台、是非お出かけください。カナエールらしい最後の開催となるよう、スタッフ一同、準備を整えてお待ちしています。

皆さんと一緒に新しいスタートを切ることを楽しみにしています。

希望格差のない社会へ。

 

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