「かっこいい大人とかっこいい背中」最後のカナエール – 一般社団法人イトナブ石巻 太田 サヤカ

昨年のカナエール 2016 夢スピーチコンテストに、東北は石巻から来場してくれた太田サヤカさん。石巻から1000人のエンジニアを育成を目指す「イトナブ」のデザイナーで、デザインの仕事をしながら、新しい技術やデザインを通じて、子どもたちにものづくりの楽しさを覚えてもらう、そんな活動にも携わっています。

今回、観客として、子どもに関わる大人として、そして、カナエールに関わってくれた若ものの1人として、インタビューをさせてもらいました。

取材:実行委員 コースケ

児童養護、との出会い

【コースケ】最初に聴きたかったのが僕と知り合う前に児童養護施設を知っていたか、ということなんだけども。

【サヤカ】知ってました。ただ、そんなに身近に感じたことはなかったです。

【コースケ】ということは、どういう子たちがいる場所か、みたいなことをあまり考えたことがなかった感じ?

【サヤカ】そうですね。全然身近にそういう子とか知り合いもいなかったので、テレビとかで観て知ってるレベルで、母親父親が亡くなった子とか、家庭に何か問題がある子たちが行ってるところ、というイメージでした。

【コースケ】以前、green drinks Yokohamaに来てもらって、林さん(NPO法人ブリッジフォースマイル代表)の話を聴いてもらったのが初めて?

ブリッジフォースマイル、えと菜園、2つの自立支援に取り組む団体の代表によるトークセッションを行った、green drinks Yokohama – はぐくむ。

【サヤカ】リアルな現状みたいなのを知ったのは、あれが初めてでしたね。

【コースケ】その時の印象って覚えてる?

【サヤカ】覚えてます。

【コースケ】ちょっとそれ聞かせてくれないかな。

【サヤカ】親が亡くなった子が行ってるイメージが強かったんですけど、虐待を受けていたりとか、お金の問題で来てる子、親が健在している場合の方が今は多いというのを聞いて、想像と違ったなというのがわかりました。

【コースケ】なるほどね。

【サヤカ】自分はお気楽に生きて来たので、これまでそういう社会問題に目を向けたことは全然なかったんですけど、林さんの話を聞いて、改めて児童養護ということにいっぱい問題があるんだなと思いましたね。

【コースケ】その時の印象ってさ、そういう子どもたちがいてかわいそう、みたいな感じ?

【サヤカ】うーん、林さんのお話を聞いただけだったので、現場とかに行ったことないし、その子たちが実際どういう風に思って生活しているのかイメージがつかなかったんで、あまりかわいそうとか、そういう感情は起こらなかったですね。

【コースケ】そうだよね。どっちかって言うと、社会問題の解決に取り組んでいる起業家の人達がいる、それって大事な活動だなって思った、って感じだよね。

【サヤカ】そうですね。イトナブがやってることとも似てる部分があるなと思って。

【コースケ】イトナブが社会問題と向き合ってる意識って強かった?

【サヤカ】いや、全然なかったです。

【コースケ】でもなんかさ、ブリッジフォースマイルとイトナブが似てるって思った時に、もしかしたら、自分たちも社会問題に関わってるんじゃないの、みたいな感覚とかなかった?

【サヤカ】社会問題とは思わなかったんですけど、似てるなと思ったところが、何かチャンスを与える、きっかけのタネを与える、というところです。特にカナエールはマイナスなことをプラスに変えるみたいなところがあるなと思って、その時、自分もイトナブ入りたてで、イトナブについて深く考えることとかもあんまりなかったんですけど、何もないところから1つきっかけを与えるだけで、若い子はぐんぐん成長するし、ものすごいパワーを発揮する、可能性をいっぱい持ってるから、そういう花を開かせるための取り組みの重要性に改めて気づいた感じですね。

【コースケ】じゃあなんかヒントと言うか、子どもたちへの関わり方に、ちょっと先行ってる先輩見つけた、みたいな感じかね。

【サヤカ】そうですね。やってることは全然違うと思うんですけど、きっかけを与えてサポートしていくという面が似てるし、イトナブも見習っていかないといけないところだなあと思って聴いてましたね。

【コースケ】あの日終わってからテンションどうだった?元気出たか、楽しかったか、ちょっとつらかったか、面白いなと思ったか。

【サヤカ】面白いなと思って、イトナブってどういう団体なのかなって考えるきっかけにもなったんで、ちょっと覚醒した感じになりました。

【コースケ】覚醒したんだw。

【サヤカ】シャキッとしましたね。背筋が伸びたというか。

【コースケ】じゃあ、これから自分も頑張ろう、みたいな感じだ。

【サヤカ】そうですね、その時はそういう感じでしたね。

初めて観た、カナエール

【コースケ】去年、カナエール来てもらったわけだけれど、あれから2年空いたんだっけ?

【サヤカ】そうですね、2年も空いちゃいました。

【コースケ】カナエール来てみない?って言われた時、どう思った?遠いから大変じゃん、来るの。

【サヤカ】いやいや。行きたいと思ってたんで、声かけていただいて嬉しかったです。

【コースケ】一方で、どういう気持ちで行ったら良いんだろうとか思わなかった?

【サヤカ】うーん、そうですね、私あまり何も考えないで行っちゃってました。ただ単純に話には聞いているけど、実際どういう感じなのかな、という。行く前に前の年の優勝した子のスピーチを聴いて。

【コースケ】黄色いTシャツの子だっけ?

【サヤカ】そうですね、男の子。

【コースケ】チャンプって言うんだけど、「トレーナーとしてオリンピックの舞台にもう一度立ちたいです」、って話をしていた子だよね。

【サヤカ】それ見てすごい感動して、しんみりしたんですけど、その時は。ああいう感じのスピーチをみんながするんだろうな、ってイメージを持って臨んでました。何も考えてなくてすいません。

トレーナーとしての夢を力強く語ってくれた、2015 東京イエロー、チャンプ。

【コースケ】いや、大丈夫大丈夫。なんかでも、行くのを楽しみにできた、って意味では、楽しみに来れた、って感じなのかね。

【サヤカ】はい。行ってみたかったんで。

【コースケ】そうしたら、実際に来てみてどうだったか、という話。感想を聞いてみたいんだけれども。

【サヤカ】ビデオでは観てたんですけど、実際目の当たりにすると、1人1人の過去に起きた出来事とか、つらい経験したこととかが、リアルに伝わって来て、その日はすごい感動しました。そのことを勇気振り絞って話してるってこと自体にすごい感動しちゃって、なんかしんみりしてました。

【コースケ】折々でしんみりしてるねw。そうか。あまり誰々の話が、というよりは、あれだけの舞台に立って皆の前で自己開示してる、ってところが一番響いたって感じか。

【サヤカ】そうですね。1人1人のことも覚えてるんですけど。自分の過去の話をして、泣いちゃってた子もいたと思うんですけど、泣かないで毅然としている子もいて、なんなんですかね。

【コースケ】あれはなんなんだろうね。せっかくだから一緒に考えてみようよ。すごいよな、やっぱり、すごいんだよな。泣いちゃうくらい気持ち入るのもすごいと思うんだけど、そこで泣かないで立ち向かっているのも、なんかすごい感じするよね。

【サヤカ】そうですね。あの場で話していること以外にも、きっと私たちの想像する以上の色々なことを乗り越えてきたんだろうな、というのを感じました。人の痛みがわかる子っていうのは、色々なことをたくさん考えてるし、色々な経験もしてるから、その分、すごい立派な大人になるんじゃないかと思ってて。

【コースケ】なるほどね。

【サヤカ】すごい抽象的なんですけど。

【コースケ】わかるわかる。たまたまさっき作文していたのだけれど、カナエールで今年パラパラマンガの動画が出ていて、元になったのが、カナエールが発足する前に、看護師として自分の夢を叶えるために、進学したいんだけど施設出身でお金がないから、自分で周りの人にお願いをして応援者を募って看護師になる夢を叶えた子の話なんだけれども、その子が「社会に出てからはみんな平等」だと。だから、平等なスタートラインに立った時に、「それまでつらい経験をいっぱい乗り越えてきた私たちだから頑張れる」、ということを言ってたのね。立派な大人ってなかなか難しい言葉じゃん。立派な大人ってなんなのさ、という。

【サヤカ】そこを強みにできているところがすごいなと思って。

【コースケ】そうだよね、強みだよね。ある意味、ハンディキャップだもんね。

【サヤカ】話すことってやっぱり大事だなと思って。あの後、改めて色々考えてたんですけど、自分も最近過去にあったこととか、人に話せるようになって来て、家族のこととか、自分が育って来た環境のこととか、話したくないし、思い出したくないし、忘れたいことがあるんですけど、でもそうすることによって、色々なものを閉じ込めちゃうんですよね。本当に言いたいことを言えなかったりとか、自分と向き合えないところがあるなと思って、最近自分のことも話すようになって、どうして自分ってこういう風な性格なんだろうとか、嫌なところが出て来ちゃったとか、これからどうしていきたいかみたいなこと、過去のことに隠れていることが色々あるなって気づいて。

【コースケ】自己肯定感みたいな言い方をよくするけどさ、自分が人に話すと人によく思われないみたいなこともあるかも知れないし、自分がそのことを話すことが負担だってこともあるかも知れないけど、それを一部として今の自分が成り立っている時に、そこを全く触らない、腫れ物に触らないってやつだよね、そうすると自分の全てを伝えたいとか、認めてもらいたいとか、話したいとかっていうとこができなくなっちゃうから、自分の嫌なことを中心に動いてるものがどんどん言えなくなってくるというのはある気がしていて、とは言え、なにもかもあけっぴろげに人に話せばいいかというと、そうではないと思うんだけれども。よくカミングアウトって言葉があるけどさ、例えばLGBTの人たちが自分がゲイですみたいなことをカミングアウトするという時に、人によって反応が様々だからさ、そういう話を誰にするかとか、どうやってするかとか、学習をしながら、コミュニケーションを取っていく過程で、今回うまくいったとか、うまくいかなかったとか、言って良かったとか、言わないほうが良かったとか、あるわけだよね。なんか、自分の話をするってそういうことなのかなという気がするよね。

【サヤカ】そうですね。カナエールを観てて一番良いなと思うのが、そういう話を聞いてくれる大人たちがいっぱいサポーターについてくれてるというところです。自分を知ってくれて、一緒になって考えてくれる人がいるっていうのがすごく大事だなと思います。家族以外の人で、親を頼れない子にとっては、そういう付き合いをしてくれる人のことを家族って思う子もいると思うんですけど。

【コースケ】今、ブリッジフォースマイルの方で、社会の子育てみたいな言い方をしているけれども、例えば施設が子どもを見る、里親が子どもを見る、みたいな議論がある時に、やっぱり施設じゃなくても里親じゃなくても困ってる人には関われるわけじゃない。だけど、そういう仕組みがないから、どこに困ってる子どもがいるかもわからないし、どういう風に手伝って良いかもわからないし、カナエールはチケットを買って応援してください、っていうのが1つの答えだったりするよね。ボランティアで関わりたいって人は、ボランティアとしてスピーチコンテストに関わって、コンテストが終わっても、卒業するまで、コンテストで子どもたちに関わった人たちが、見守り支援というのをやるのね。コンテストが終わったらさあ解散じゃなくて、奨学金の給付と並行して子どもたちをサポートしようっていうきっかけでもあるんだよね。いきなり子どもに引き合わされて、卒業するまでをサポートしてくださいって言われてもなかなか情熱を注げないけど、スピーチコンテストに向けて120日間、プライベート削って一緒に頑張った、みたいなのが最初にあれば、その後、卒業まで深い愛情を持って関われるじゃん。だから鶏が先か卵が先かみたいな話ではあると思うんだけど。

【サヤカ】そこは本当に仕組みが上手ですよね。

【コースケ】と思うでしょ。なんだけど、多分、イトナブでワークショップやっているのとかも一緒で、最初に入り口で子どもたちに来てもらってゲーム作ったりするわけじゃない。でその中で、何人か興味を持ってくれた人たちと、細く長くじゃないけど、時間をかけてイトナブと付き合っていきましょう、みたいなことをやるわけじゃない。最初にパッション、というか、情熱的なものがあって、楽しいとか面白いとか思えた子たちと、その後、イトナブも付き合っていっている感じがしていて、やり方違うけどやっぱり似てるんじゃないかね、っていう気がするよね。

【サヤカ】そうですね。でも見習わなきゃいけないなっていうところが、終わった後のサポートがイトナブは結構弱くて。

【コースケ】問題意識を感じてるところ、ということだよね。

【サヤカ】そうですね。

ワークショップでの太田サヤカさん。石巻の子どもたちのために、エンジニアとデザイナーのチームで取り組みます。

【コースケ】ただそれ、カナエールがスゴイって話ではなくて、むしろ僕ら今一番困っているところで、今年最後の開催なわけですよ。これからは奨学金支援のニーズっていうのが、資源が限られているNPOよりも力のあるところがやってくれそうな感じになってきているから、そこから撤退するというか、奨学金支援はスピーチコンテストの参加を条件にしなくても受けれる子たちが増えて、しかもカナエールは参加できる人数が限られてるじゃん。応募者に対して面接もして、挑戦できそうだよ、っていう子たちを選ぶ、って言うと変だけど、面接やって絞ってるわけだから、すごくサポートできる子たちは限られてるんだけど、行政とか民間とかが今、奨学金支援を用意して来ているから、もっとたくさんの子たちが進学を選べるチャンスができたっていう状態で、奨学金支援が目的から外れた時に、カナエールのコンテストも今年で開催は終わるのだけれども、さてこれからどうしようかというのはもう一度ゼロベースのスタートだなと。言ってくれたみたいに、子どもを大人が支えるとか、子どもたちが置かれている状況は、奨学金支援が充実されても、改善されないわけじゃない。つらい思いをしているという、虐待とか、貧困とかが根本のところで解決されたわけじゃないから。これから何をやっていくかっていうのは僕らも問われるところで、ずっと同じことをやっていれば済むって話ではなかったってことではあると思うんだよね。でもこういうやり方ができました、って言って、ずっとそれをやっていれば良いってことって、世の中にないじゃん。

【サヤカ】そうですね。

【コースケ】問題も変わっていくしさ、解決策も変わっていくし、関わる人達も変わっていくからさ。そこでどうやっていくかみたいなことかなあって感じがする。

【サヤカ】なるほど。そうですよね。お金の面だけじゃなくて、話を聞いてもらえる環境とか人がいた、っていうのが、子どもたちの精神的な部分を支えるというのが、結構大きい活動だなあとは思ってたんで。

かっこいい大人とかっこいい背中

【コースケ】こないださ、イトナブの代表の古山さんがTEDxTohokuUniversityで話してたじゃん。古山さん、カナエールにはかぶせてないと思うんだけど、夢を語ってたじゃん。夢を叶えるっていう、カナエールっぽい話をしてたじゃん。

【サヤカ】うんうん。

【コースケ】夢、みたいなことどう思う?

【サヤカ】夢。イトナブに来るまでは、あまり夢って思ってなかった。夢について考えてなかったんですよね。でも、好きなことを仕事にしたいと思って、デザインの仕事を選んで進んで来て、それも夢って言えば夢だったかも知れないんですけど、イトナブ入る前までは、デザインの仕事でご飯食べていければいいやくらいだったんですけど。

【コースケ】まあそれすごい大事だけどね。

【サヤカ】はい。イトナブ入ってから、自分が隠していた願望というか、もっと有名になりたいとか、中学とか高校の時とかに思ってたんですけど、自分の好きなアーティストのCDジャケット作れるようになりたいとか、イトナブ来てから、子どもの時に描いてた夢、みたいなのを思い出して、大きなこと、そんなの無理でしょ、って言われそうなことも、その時の気持ちを思い出して言えるようになったんですよね。それを受け入れてくれる人たちだったから言えたんですけど。

【コースケ】それなんか共感できるけどね。高校とか大学・専門行った後の就職とかってさ、最初に言ってた食っていけるのかみたいな話もあるし、色々な社会に敷かれたレールから外れることをあきらめろって言われるじゃん。遊んでられるのも学生のうちだ、みたいなこともそうかも知れないし、さっき出た立派な大人っていうのとは違う、立派な大人像のステレオタイプってあるじゃん。ちゃんとした社会人てこうでしょ、みたいなの。そこから外れるとやはり否定されたり、あなたの力じゃ足りないって言われたりするでしょ。そういう意味で言うと、イトナブ行ってそういう気持ちの切り替えがあったというのは、ちょっと失いかけてた自由を取り戻した、みたいな感じなのかもね。

【サヤカ】そうですね。イトナブ来て、夢って言うのを思い出して、古山さんがいつも言うんですけど、夢を語れない世の中になって来ている、って。だから、子どもたちが夢を語れる世の中にしたいって言ってるのはすごい共感してて。夢を持って、それを発言して、受け入れてくれる人がいるってだけで、モチベーションって全然違うんですよね。

【コースケ】なるほどね。今の子どもたちが夢を語れなくなって来たという話もさ、カナエールと同じ世界のような話がするし、もう一つ思ってるのが、カナエールの最後で、ボランティアの人達が舞台に出て来て、黒いバンダナしてる人が、この人達がかっこいい大人たちです、ってやるじゃん。覚えてる?

【サヤカ】覚えてます。

【コースケ】イトナブも及川さんの名刺に「かっこいい背中」って書いてあって。前に話した時も「私たちは子どもたちのかっこいい背中になれているだろうか?」って話してたでしょ。

【サヤカ】はい、言いましたね。

【コースケ】その辺がすごい似てるんじゃないかと思うんだよね。

石巻から1000人のエンジニアを育成を目指す「イトナブ」。

【サヤカ】こういう風になりたい、って思い描いても、テレビとか本とかで観ただけだと、全然イメージってわかないと思ってて、身近で仕事している人の姿とか見て子どもって成長していくと思っているし、親の背中見て育つみたいなことと同じだと思うんですけど。近くにそういう人がいるだけで全然違うなというのはあるし、そうやって関わってもらう中で、子どもたちが自分の将来を考えていくのもすごい大事だなと思います。

【コースケ】それこそ最初に林さんが話してたかも知れないけど、児童養護施設という環境にいると、学校もあるわけだけれども、社会との接点てすごい少なくてさ。そういうのって親が補完してたりするわけじゃない。親の仕事の話ちょっと聞かされたりして、ああ、社会ってこういうもんなんだなとか、大人ってこういうもんなんだなとか。だけど親を頼れない子どもたちというのは、なかなかそういう話を聞く機会がなかったりとか。あと、勉強してるのはあまりそういうことになりにくいけど、スポーツとかやってればさ、先輩との深い付き合いとか、OBとか、そういう外部の人との縦の付き合いって発生しやすいけどさ、実際、自分たちで学費も生活費も稼ごうと思うと、部活あきらめなきゃいけなかったりもするわけだよね。すごい上手で、根性もあって、ずっと続けてればすごい可能性があったやつとかも、自分のなりたい仕事とか職業のために、部活は我慢しようとか。スポーツもお金かかるじゃん、合宿とか、道具とか。そういうことができない子たちもいて、バイトすればバイト先にはかっこいい先輩もしかしたらいるかも知れないけど、それもルーレットというか、めぐり合わせの話だから、かっこいい大人というか、かっこいい背中というか、そういう人たちと出会える機会って、足りないってところに対しては積極的に作るって動きをやっぱりしていかないといけないのかなって思う。イトナブも震災の後に立ち上がって、現場には元気があるけど色々足りないものもある、という時に世の中の活躍しているエンジニアの人たちが足を運んでくれたわけじゃない。その人たちが引っ張ってくれたのも大きい気がしていて、カナエールもボランティアのチームの人たちって、それぞれ色々な職業で働いていて、すごい大企業で働いてる人もいれば、外資で色々な会社ジョブホッピングしてる人もいれば、福祉畑の先輩もいるかも知れないし、教育の現場にいるような先生もいるし。ごった煮みたいなさ。夢と、かっこいい大人とか、かっこいい背中って多分にリンクするところがあると思っていて、そういうかっこよさを見せてくれる人がいるから自分も夢語って良くなるとか、ああいう人がいるんだから私にもできるかも知れないみたいなさ、そういう肯定のされ方ってあるよね。

【サヤカ】肯定してくれる人は大事ですよね。

【コースケ】肯定する方が大変だからね。否定すれば手を離せるけど、肯定すると担がないといけないから、否定するより肯定する方が責任伴うんだよね、本来的には。だからそこで、ある意味、他人に対して、どれくらい能動的にお節介焼けるかということかと思っていて、カナエールも、昔からかわいそうな子たちだから助けてくださいを言わないようにしようと言っていて、この子たち頑張ってるし、強い子たちだから応援してください、という言い方をしている。社会に蔓延するダメなものに文句を言えば気分が良いみたいな空気は俺も嫌いでさ、なるべく褒めたり認め合ったりすることで伸びていけるところで、うまくいってないことを一緒に解決できちゃうと、楽なんだろうなって気がするよね。

【サヤカ】そうですよね。

この夢は忘れない。

【コースケ】最後にですね、カナエール最後なので、最後のカナエールにメッセージを。

【サヤカ】より多くの人に聴きに来てもらいたい、多くの人知ってもらいたいというのがあって、それが大人じゃなくて、同じ児童養護施設にいる子とか、自分の中に色々抱えているものがあって自信をなくしている子とか。そういう人にすごい響くイベントだと思うんですよね。自分にもすごい響いたし、あの後、自分の過去の話をもうちょっと人に話してみようと思えたとか、人の気持ちを変えるものでもあると思うんで、若い人たちがもっと聴きに来てくれたら良いなと思うのが1つあります。あとは、忘れないで欲しいですね。終わっちゃうけど、自分も含めて、カナエールがやって来たことを忘れちゃいけないと思ってます。


太田 サヤカ
一般社団法人イトナブ石巻 グラフィックデザイナー

東北電子専門学校グラフィックデザイン科卒業後、Klab株式会社に入社。主にソーシャルゲームのGUIデザインを担当。1年後イトナブ石巻へ転職。webデザイン、アプリデザイン、ロゴデザイン、イラストレーションなどグラフィック業務全般を担当。こども向けのデザインワークショップや勉強会の企画も担当しており、こどもからおとなまでわかりやすく楽しんでもらえるデザインやその仕組みづくりに重点をおいて活動している。


 

 

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