カナエールを飛び立つ君へ ~カナエール2016エンパワからのメッセージ~

今年で6年目の開催となったカナエール夢スピーチコンテスト。夢を語った24人の若者たちだけでなく、彼らを支えたエンパワ(社会人ボランティア)の大人たちも、それぞれ特別な思いを持ってプログラムに参加していました。横浜のコンテストに出場したカナエルンジャーピンク“ジェイ”を支えた”かわっぺ”もその一人です。エンパワとして彼に伴走した120日間のレポートです。

======================================

駆け抜けてきたんだな、と気づきました。これまでの120日間、脇目も振らずに必死で前ばかり見て走っていました。

確か、去年の12月でした。仕事上がりにパソナのビルで、カナエールの説明会に参加しました。大手町の駅が同じ駅とは思えないほど広くて迷子になりながら、かろうじて目的地に到着したことを覚えています。

思い返せばその半年前、知り合いに教えてもらって訪れたカナエール横浜会場で。最初から最後まで泣き通しで、ハンカチが手放せませんでした。ルンジャーひとりひとりが、いろんな苦しみや辛さを乗り越えて、未来への希望を語る姿に、感動しっぱなしでした。もっと近くで、同じ目線で、彼らにエールを送りたい。そう強く思ったのです。

あの日は、不安と期待が心の中でせめぎ合っていました。わたしに務まるだろうかという不安と、なんとしてでもカナエールでエンパワをやりたいという期待。知らない人だらけの説明会会場で、わたしはドキドキしていました。

2月のエンパワのオリエンテーション、そしてカナエルンジャーとの待望の顔合わせ。いよいよカナエール活動が始まるというとき、それなのにどんどん不安が募っていくのでした。

3月の合宿。どんな話をしようかな、どんな話をしてくれるかなと考えを巡らせながら、前の晩にふと思い至って爪をチームカラーに塗りました。
「緊張して眠れなかった」とレッドブルを飲む君に、まるで遠足前の小学生みたいだと笑い合った記憶があります。
あの日、いろんな話をしました。君の夢の奥にある、強い思いを知りました。わたしが18のとき、こんな風に強く一つの道を信じられただろうかと、目の前で淡々と語る君を素直に尊敬しました。ぽつりぽつり、大人たちも心に秘めた夢を口にし合いました。
解散前、チームのみんなで手帳を見ながら活動の予定を立てました。決めなくちゃいけないこと、やらなくちゃいけないことがたくさんある。いよいよ始まるんだなと、再び胸が高鳴りました。

LXT12204_censored

それからは、あっという間でした。
君が育った思い出の場所を巡って、君の夢の一歩先にいる先輩方のお話を傍らで聞いて。スピーチの原稿を推敲して、撮影した映像と夜中まで睨めっこ。気づいたら毎週のように顔を合わせていて、集まるとまず真っ先にみんなで腹ごしらえするのが暗黙の了解になっていました。

驚いたのは、コンテスト本番までもう1週間を切った頃。君はまだ原稿を一行も覚えていないような有様で、練習会場に現れました。いつもよりオーディエンスが多くて最初は少し照れながら、でも何度も何度も練習をしていました。どんどん声が出るようになって、目にも力がこもっているように感じました。
「全力で頑張ります!」
2月の顔合わせで、そう高らかに宣言した君の本気を、垣間見てはっとしました。

そして迎えたコンテスト本番。うまくいかないもどかしさや、焦り。そんな経験があったからこそ、こみ上げるものがありました。カナエルンジャーの見せた笑顔に、幸せを感じました。

「カナエールは麻薬」、あるエンパワメンバーの名言です。まさに麻薬のような高揚感と中毒性に、わたしたちはもう魅せられてしまったのかもしれません。

120日間が濃すぎたからこそ、終わった後の毎日は、なんだか少し味気ないような気がします。
でも、カナエールはこれで終わりではありません。コンテスト前ほど頻繁に顔を合わせることはもうないけれど、わたしたちはこれからも、君たちの側にいます。
たった120日前に初めて君の人生に登場したわたしたちが、どれだけの力になれるかは正直なところわかりません。
それでも、あのスピーチがゴールではなくて、君たちのスタートだったのだと気づいたら、その大事な瞬間に立ち会えたことがとても嬉しく、愛おしいのです。

13978010_1017837045000836_470864880_o

夢への新たな門出。カナエール2016解散式を開催しました。

スピーチコンテストから1か月。チーム活動も今日で終了です。1か月ぶりに会った君は、髪色が明るくなっていて、スピーチをやり遂げた安堵感からか、ちょっぴり大人びたような気がしました。
とめどなくお菓子を食べ続けるところは変わっていなくて、でもそれに懐かしさを覚える自分に気づいて、120日間の濃さを改めて感じるのでした。

表彰式では、ひとりひとり、カナエルンジャーの名前が呼ばれて、修了証とアルバムが手渡されました。アルバムには、コンテスト来場者のみなさんからかの愛の溢れるメッセージが詰まっています。わずか5分のスピーチなのに、そこからカナエルンジャーたちの夢への思いや、強さと脆さ、かけがえのない個性、いろんなものを受け取って、それに答えてくれていました。
壇上の君の後ろ姿にはいつかのような緊張感はもうなくて、なんだか感慨深いです。
合間に流れたスピーチコンテストのエンディングムービーには、たった120日前の君の姿が映し出されていて、どこか幼いその表情がとても対照的でした。

そして、コンテスト本番では舞台裏にいて聞けなかった、エンパワメンバー代表スピーチの映像を鑑賞しました。
今年、54人のエンパワメンバーがいろいろな思いを抱いて集まりました。若者たちの力になりたい、きっかけはそんな気持ちだったかもしれません。
でも。
いつもは照れくさいから言わないけれど、本当は、君たちの夢とそれに向かう姿に、たくさんの希望や幸せや勇気をもらっていました。
ありがとう、を代弁してくれた代表スピーチに、不覚にも泣きそうになりました。
隣で君が、こそばゆそうな顔で聞いているのを盗み見ながら。

東京ブルー エンパワメンバーのやまちゃんからは、彼が作詞作曲したオリジナル楽曲「叶える」の弾き語りのプレゼントがありました。
カナエールが終わったある日、やまちゃんに「降りてきた」歌詞に楽曲をつけたそうです。
その優しい、けれど力強い歌声を聞きながら、改めて今までの120日間をふりかえって感慨にふけってしまいました。

追い打ちをかけたのが、カナエルンジャーたちからの実行委員への感謝のシュプレヒコール
順番に紡がれる言葉のひとつひとつが、短くも濃いカナエールの思い出を蘇らせてくれました。
感極まって声を詰まらせる君や、涙をこらえきれなくなった実行委員の方々の姿に、わたしもこっそりもらい泣きしてしまいました。
今年もカナエールがあるということ、その後ろにはきっと、とても大きなエネルギーが必要だったのだと思います。奔走してくれたみなさんのありがたみを噛みしめました。

そんな解散式もあっという間に終了。
初めて君と出会ったあの日と同じように、扉の前にエンパワみんなで花道を作ってハイタッチでカナエルンジャーたちの門出を祝いました。「お疲れさま」「がんばってね」「またね」口々に別れの声を掛けながら、だけどとてもあっさりと。
君ならきっと、頑張れる。
そう信じているからこそ。

カナエール2016は解散式をもって終了しますが、この後も「グランドカナエール」として、イベントや面談を通じてカナエルンジャーをサポートしていきます
進学先によってまちまちではありますが、カナエルンジャー達が進学先を卒業するまで、短くても約2年、これから4年制に進学する場合は約4年半、カナエルンジャー達にとっては長い道のりです。
これからも引き続きご声援をよろしくお願いいたします。