家族が育てられないなら、社会が育てればいいじゃない。 – カナエールの挑戦

「生まれた家庭では、たまたま育てることができなかった。それなら社会が育てればよいと思います。子ども達にがんばれ!というだけじゃなくて、社会がまず変わっていかねばなりません。」カナエール 東京・横浜 実行委員長の植村百合香からのメッセージです。

このエントリーはアースガーデンの2016年5月27日付の記事を、サイトの承諾を得て引用しています。引用元の記事はこちら

最近何かと話題な、保育園の問題や、大学進学における奨学金問題。これって、要するに『子どもを社会で育てる』ための課題なのだと思います。理想はどうであれ、現実問題として、”育てる”という行為が、家族ではやりきれないわけです。社会がどう子どもたちを育てていけるのか、という課題は多くの人にとって自分事になりつつあります。

社会で子どもを育てる

児童養護施設を頼る子どもたちは全国に3万人以上。子どもたちは18歳で施設を退所しますが、その後の進路における進学率は2割。全国平均7割に比べて大きな格差があります。また、せっかく進学しても、学費も生活費も自分で稼ぎながらの生活。3割もの子どもが中退し、その割合は、全国平均の3倍です。

どんな環境で生まれ育っても、教育や進学の機会は平等にある社会であってほしいと ”資金” と ”意欲” の両面からサポートするのが<カナエール>。自分に自信が持てない傾向にある子ども達が、ボランティアの大人とチームを組み、120日間かけてスピーチをつくり、大勢の観客の前で発表することが奨学金給付の条件です。

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このプログラムを運営するNPO法人ブリッジフォースマイルの植村百合香さんにお話を聞いてきました。

「児童養護施設の子どもたちは、育児放棄や、親からの虐待、そもそも両親がいないなどの理由で、家庭で生活することができず、社会で育てるべき子どもたちです。親が亡くなって天涯孤独な子どもたちというイメージがありますが、親の死別が理由で施設に入ってくる子は1割。また、8割の子どもたちは施設で生活しながら、親ともつながり続けていて、施設の平均在所期間は、平均して5.2年。家庭の問題が解決すれば、家庭に戻ります。」

なんとなく抱いていたイメージと違う。そう思った人が多いのではないでしょうか?

「家庭に戻れない子どもは、高校卒業と同時に施設も退所し、多くが一人暮らしをはじめます。18歳と言えどまだまだ子ども、一人で生きていくにはあまりにも困難すぎる。でも、こういった事実は多くの人が知らないことだと思います。児童養護施設出身の子どもの存在がなかったことにされている社会の空気が、子どもたちの進学や将来への希望を持つこと自体を諦めなくてはいけない状況を作っている。こんな社会では、施設職員が進学を希望する子どもの背中を力強く押すことはできません。

生まれた家庭では、たまたま育てることができなかった。それなら社会が育てればよいと思います。子ども達にがんばれ!というだけじゃなくて、社会がまず変わっていかねばなりません。多様な育てかたがあっていいのではないでしょうか。実の親が子を育てるべきだ、子は親に愛されるものだという思い込みが、自分達の首をしめていることもあると思います。施設の子と社会の架け橋として、そんなメッセージも発信していきたいと思います。」

自分も成長できるカナエールの仕組み

子どもと社会の架け橋になるということ以外にも、カナエールの仕組みが優れているなぁと思うところがあります。それは、ただ支援になるだけでなく、関わる大人が子どもと共に成長できる仕組みにあります。

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NPO法人ブリッジフォースマイルの植村百合香さん

「子どもが自分自身と向き合っていく過程をボランティアの大人が共にする。その時のコミュニケーションはとても濃いものになります。先生のようにならなきゃいけないこともあれば、18歳だった自分に戻ってコミュニケーションをとらなきゃいけないこともある。それにチームメンバーである他の大人と一緒に、ゴールを目指すわけですから、チームビルディングの要素もあります。ここは家庭や仕事と一緒です。コミュニケーションスキルは生きていく上で必要不可欠なことですから、ボランティアの大人の成長にも繋がるのです。」

チームとして一つの目標に向かっていく過程で子どもにも大人にも多くの学びがあり、そのゴールとして、子どもたちの夢をかなえるお手伝いができる。それがカナエール。

「参加の動機はなんでもいいと思うんです。かわいそう、怒り、悲しみ。いろんなきっかけがあって、子どものために大人が集まってくる。関わってみたら、最初の動機とのギャップがあると思います。プログラムが終わった後の感想を聞くと『自分が成長した』『視野が狭かった』と言ってもらうことも多い。このカナエールを通して、仕事や家庭の自分とは違った自分が生まれると思います。」

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さて、関心が湧いたなら、スピーチコンテストを観に行きませんか?5,000円のチケット代が子どもの奨学金とプログラム運営費に充てられます。飲みに行ったら消えてしまうような金額で、あなたの世界も子どもたちの未来も広がっていくはず。家族が育てられないなら、社会が育てればいいじゃない。その社会を作っているのは、私たちひとりひとり。

3回に渡ってアースガーデンからの転載記事をお届けしました。寛容な社会、と簡単に言葉にはできるものの、実際はなかなか難しい。けれども、虐待とか、子どもの貧困とか、教育格差とか、そういう社会問題のど真ん中にあって、社会へ希望のある提案ができる、そんなプロジェクトでありたいです。カナエルンジャーのスピーチにはそういう力があります。

 

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